CMYK-6333(CD)
MANOgcのサウンドプロデューサー、我らが宮木さんからこのデモ版が届いて、CDプレーヤーの再生ボタンを押し、1曲目のやや甲高いブロウが聞こえだしてまもなく、私の頭の中にはあるキーワードが、なぜかハッキリとしたイメージを伴って浮かび上がってきたました。 すなわち、「真夏の夜のジャズ」。 以前から、コラムやこのレビューの場でことあるごとに取り上げてきましたが、私はボサ・ノヴァ好きです。それも、かなり。 ただ、なんといいますか、ボッサやサンバ、サルサなど、こういった南国由来の音楽を、夏に聴く気にはなれないんですよね。 うーん、なんででしょう。暑苦しいんですよね。 例えて言えば、セミの声が聞こえてくるだけで夏の暑さが何倍にも増幅して感じられてしまうからいやだ、そんな感じでしょうか。 やっぱりこういう時期に聴くのであれば、ちょっと陰なイメージの、こういったミディアムテンポなジャズがしっくり来ますね。 ほてった体を優しく冷ましてくれるイメージ。 まあ一度お試しください。 サックス主体のジャズなのに、全体の録音にホールトーン成分が多く入っているので、まるで上品なホテルのラウンジで聴いているかのようです。なんとも涼しげなサウンド。 サックスプレーヤーには往々にして音数バラマキ型の「攻めキャラ」が少なくないんですが、このヴィトル・アシスのプレイは、ほどよく抑制がきいていて、ある意味悟りを開いたかのような超俗的なプレイです。 これは、クールだ。 「真夏の夜のジャズ」 。 第5回ニューポートジャズフェスティバルの模様を収録したドキュメンタリー映画です。素材となったステージは7月3日から6日までの4日間。 暑い夏を熱い演奏でクールに包み込む。 主催者は、まことに「わかってる」人って気になりますね。 そして、この一枚。 この時期にこれを推してきた宮木さんも、やっぱり「わかってる」 、そんな感じがいたします。
永井 竜一